●「早乙女葛」と「屁糞葛」
「さおとめかずら」という美しい和名がある。
「さ」は「田の神」にささげる稻のこと
「おとめ」は「未通女」で処女(神に仕える女性)のこと
豊作の儀式として、紺の単衣に赤い帯、白い手拭をかぶり、紺の手甲脚絆、菅笠のそろいの姿で一列にならんで苗を植えた―その女性たちを「さおとめ」と言う。
それに漢字を当てるわけだが、
田植えする女性ということで「田植女」「植女」。
田植えの時期にちなんで「五月乙女」「五月女」。 他に
「早乙女」「早女房」のように「早」の字も当てられている。
「早」は瀬織津姫を表すから「月乙女」という字も当てられている(水神・川神・滝神の瀬織津姫は月神でもある)
ではなぜ、8-9月に咲くヘクソカズラに、わざわざ「早乙女/五月乙女」の名をつけたのか? それは「白地に赤」のヘクソカズラの花に「赤帯・白手拭」の早乙女の配色を当てたと言われているが、5月頃なら紅白の取り合わせの花はいくらでもあろう。
ヘクソカズラの花を正面から見ると「白地に赤丸」―まるで「日の丸」だ。

そして秋には葉が黄金に色づき、金の玉(実)をつける。

三光信仰では、日(太陽)と月から星(地球)が生まれるが、その地球の根源神は「大金龍(艮の金神)」→つまり、地球=金玉だ。まさに金の玉を生む植物なので、瀬織津姫の化身と見なされたのだろう。
が、持統天皇以降、二柱(アマテルと瀬織津姫)は封じられ、瀬織津姫の名は抹殺されていった。別の神仏名に改名させられたり…それが植物名にも及んだ。瀬織津姫を連想させてはいけない。かつ民衆から遠ざけたい。だから、その臭いに着目し「屁糞」という最悪の名前にしたのだろう。
●誤解は解けたよ早乙女葛
「屁糞葛」という名で見ていた頃は、やたら蔓延って木に絡みつく厄介な蔓と見なしていたけれど、「早乙女葛」という名で見ると、まるで印象が異なる(言葉って大事)。

盛夏も瑞々しく美しいこと。

秋の黄金の葉と実も美しい。

以下は、2019-21年の写真からピックアップ。
ぶら下がっている2つが釣り鐘のよう。


「灸花」と言われるように、赤くなったお灸の跡みたい。

葉もややハート形

屁糞葛という名から想像もつかない「意外性のある」植物でした。
もはや「誤解を解きたい」と言うあなたの願いはかないました。
私の中では「早乙女葛」です。