●虐待剪定
木の剪定をするようになって、街路樹の剪定などが気になるようになった。
木は生き延びるために枝葉を出すわけで、その枝葉を一気に刈り込まれてしまうと、もはやなりふり構わず同じ量の葉を胴吹きの形で出したりする。すると、幹から直接葉が茂っている棒タワシのような毛むくじゃらの木になったりして、木の必死さが見ていて辛い。
横浜マイスターの木下透氏は、こういう乱暴な切り方を「虐待剪定」と呼んでいる。
バリカン剪定も同様に酷いものであるようだ。例えば形を整えるために輪郭を決めて単純にぶつ切り(刈り込み)していくと、樹勢の行き場を失った木は、その切り口から車枝をドカンと出してすぐに形は崩れる。
あるいは、上述のような不格好な木になるわけだが、もっと深刻な問題がある。
●「くさび芽」を形成しない虐待剪定の因果
そもそも木は枝を出す位置を決めていて、枝が出る所には「くさび芽」が形成され、そこから枝が斜め上に伸びてくる。つまり、枝はくさびによってしっかりと幹にささっているわけだ。
ところが、樹勢を保つためにあらぬ所から急いで枝葉を出す時は、くさび芽が形成されていないため、それらの枝は折れやすいのだ。折れた枝が人に害を及ぼすこともあろう。因果応報、人に返ってくる。
しかも、なりふり構わず枝を出すので、忌み枝だらけになる。それが風通しを悪くし、害虫や病気の感染源になり、再び刈らざるを得ない羽目になる。
それから、縦に伸びる徒長枝も出やすい。徒長枝はまっすぐ上に伸びて先端に葉をたくさんつける。これは、なるべく太陽に近づいて、先端部分に光合成の工場(葉)を集中させ、そこから木に栄養を送り込むためだ。
●強剪定で失われる地縁
それに強剪定の場合、切り口から菌も入り込みやすい。実際、子どもがよく遊ぶ公園の桜は強剪定されてキノコの菌が入り込み、枯れてしまった。春になるとその下で花見をしていた大樹だったのに、と残念だ。
写真は、強剪定された切り口からコフキサルノコシカケの菌が侵入して繁殖したもの。内部を腐らせるため、放置すると倒木します

木というのは、地縁の中心に来るものだ。
共通体験やそこからの感情の共有が人と人を結び付ける。祖父母も親もこの木の下で育ったという思いがあれば、その地に対する愛着も湧くだろう。
地縁を守るのが役所の大きな役割だと思うが、ならば公園や木の管理をシルバー人材に任せず、ちゃんとした造園業者や植木職人に任せてほしいものだ。その人件費を削って、地縁のシンボルとなる木を倒木させたら本末転倒だ。「私たちの税金をちゃんと使え!」と言いたくなる。
●剪定時の留意点
下記に木下透氏の剪定ビデオがあり、樹種別に見たい動画に行くことができます。
・横浜マイスター:木下 透の剪定講座
当時メモしたポイントは↓
- 1.切る角度
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太枝を剪定するとき、木の枝の生え際にバークリッジというライン(しわ)がある。切る枝の水平断面とバークリッジ・ラインのちょうど真ん中の角度でカットすると、切り口断面の防御力が最も高まるらしい。
- 2.どの枝を切るかではなく、どの枝を残すか
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外側の輪郭に合わせて切るのではなく、どの枝を残すかを考えながら切る。剪定は選定―不要枝を剪定することだ。形は木に任せればよい。自然に整えてくれるそうだ。
- 3.混み合っているところは必ず問題がある
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・触るとフワフワと宙に浮いているような枝も無理なところから長く伸びている。そっれらを切ると穴が開くような場合でも、枝が細いうちにカットしておく。
・枝の残し方は45度の範囲。例えば、幹から右に出た枝は右45度の範囲を担当してもらう。なので、その範囲を超える枝はカットしていく。 - 4.木を怒らせないように切る
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勢いのある枝を切る時は、根元の方にある外側に向いている小枝を残してその上で切る。勢いがあるのは、その場所に必要だから勢いがついているわけで、その部分の枝を全カットすると、カットしたすぐ下から胴吹きがわんさか生えてくることになる。なので、小枝を残して、樹勢をそちらに逃がすようにする。
動画を見て、自分で試行錯誤しながら切ってみて、また見て・・を繰り返しているうちに、だんだんと理解が深まっていきます。